2025年6月26日・10団体呼びかけ政府交渉報告: 厚労省「医療費等減免措置」廃止の法令違反が露呈

福島原発事故の避難指示区域等の医療・介護等減免措置の継続を!
福島原発事故被害者に国の責任で「健康手帳」交付を!

2025年6月26日、全国の10団体(脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、福島原発事故被害から健康と暮しを守る会、フクシマ原発労働者相談センター、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、全国被爆2世団体連絡協議会、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーン)と共同で呼びかけた政府交渉を持ちました。交渉には、福島原発事故被害者及び、長崎、関西、関東の支援者など約40名が参加しました。公開質問書(2025年6月4日付)に基づき、以下の5つの課題について厚労省・環境省・復興庁に問い質し、追及しました。 (交渉の詳細は添付の交渉報告をご参照ください。)

  1. 福島原発事故による避難指示区域等の「医療費等減免措置」削減廃止方針を撤回し、措置を継続すること。
  2. 国の責任で全ての福島原発事故被害者に「健康手帳」を交付し「被爆者援護法」に準じた法整備(無料の健診・医療等、生涯にわたる健康・生活保障)を行うこと。
  3. 低線量被ばくの健康リスクを明らかにした「国際核施設労働者調査」(INWORKS)などの最新の疫学調査結果を認め、放射線被ばくの健康影響に関する「政府見解」を改め、福島原発事故被害者の健康保障や原発被ばく労働者の労災補償拡大に反映すること。
  4. 「一般公衆の年間被ばく線量限度1ミリシーベルト」を無視し、さらなる被ばくを人々に強いる「帰還困難区域での活動自由化」を行わないこと。
  5. 福島原発事故被害者の実態と意思を政府の政策に反映させるため、被災地で「公聴会」を開催すること

「医療費等減免措置」廃止は「法令違反」!
–政府が廃止理由にしている「公平性の観点」には法的根拠がないことが政府交渉で露呈

「医療費等減免措置」は、各健康保険法に則って「特別の理由、事情」に置かれている被災者に対して「健康保険料等や医療費一部負担金の支払い困難」が認められる場合に行われる支援です。福島第一原発の重大事故による放射能汚染のため、被ばくを避けるために避難を余儀なくされ、生業の喪失、避難の長期化、ふるさと喪失、コミュニティの崩壊、汚染のためにいつ戻れるかわからない「帰還困難区域」。「避難指示解除」されて帰還しても放射能汚染が残るため事故前より空間線量が高く、日常的に事故前に追加被ばくを強いられている。避難指示解除区域には除染できない山々が残り、山に入って山菜取りもできない、子どものいる若い世帯はほとんど戻らず、帰還者は年金生活で暮らす高齢者世帯が多く、「居住率」は事故前の数%~60%。何よりもすぐ近くに「目処の立たない廃炉作業」の続く事故原発があり、「原子力緊急事態宣言」は未だ撤回されていない。このような「特別の理由、事情」によって「健康保険料等や医療費一部負担金等の支払い困難」な状況が続いています。

政府交渉では、このような「特別な理由・事情」が続いているにも関わらず減免措置を廃止することは「健康保険法」に反する法令違反ではないかと問い質したところ、厚労省国民健康保健課は、「健康保険法」に定められた「『特別の理由、事情』での交付とは異なる」と誤魔化し、「被保険者間の公平性の観点から支援を見直す」と繰り返しました。しかも、首長との話し合いだけで「支援見直し」を決めた上に、「支援打ち切りを始めた2023年以降、一度も現地に赴いて住民の声を聞く実情把握をしていない」と開き直ったのです。

避難指示が解除されても生業、農業もできず、「生活保護」世帯が増えている現状、医療費支援打ち切りのために受診をためらい、病状が悪化したケースなど、深刻な実情を被害者が訴え、「医療費減免の法的根拠」を改めて問い質したところ、厚労省は「健康保険法によるもの」と認めながら、「特別な理由・事情」以外のどの条文に基づくものか回答できず、「返答できないなら回答を撤回しろ」と詰め寄られて、先の回答を撤回し、後日文書で再回答することになりました。

しかし、1ヶ月以上たっても再回答がなく、福島議員事務所から問い合わせをして頂き、やっと送られてきた再回答でも厚労省は「法令に則って行われている支援とは異なる」と繰り返しました。これは交渉の中で厚労省自身が認めた、原発事故被害者への「医療費等減免措置」が「健康保険法」に則って行われているという周知の事実をも覆す許し難い回答です。政府交渉呼びかけ10団体として、さらに抗議し再質問(10月3日付)を行っているところです。さらに運動を強め、広げ、「医療費等減免措置」廃止方針撤回と支援継続を引き続き政府に迫りましょう。

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