「守る会」のロゴマーク〜牛・人々〜を描いた思い

ゆっくりでもいい、一歩ずつ、着実に、様々な人々とともに、進んでいく…

1.牛

 ロゴマークというと、一目で「テーマ性」が分かるものであることが大事だと思っています。でも、それは極めて難しく、しかも今回のように、それぞれの思いがさまざまな場合には、さらに困難なものになるなと思いました。これが「12市町村」に限られれば、ずっと簡単だったのですが。

 でも、「健康と暮しを守る会」のメンバーとそんなことをやり取りしているうちに、降ってきたように「牛」の姿がイメージされました。すぐにデザインし、妻に見せると即答で「原発事故」と回答してくれました。

 「牛」は、震災直後の避難区域を歩き回っていた衝撃的な映像や、その後の「殺処分」などのマスコミ報道等により、原発事故の「被害者」の象徴的なものになったと思います。個人的にも、私たち家族も6年間住んでいた飯舘の牛であり、原発事故により人生を変えられた畜産業の人々の姿が重なるのです。

 さらに、牛の「一歩」の歩みの「強さ」「重さ」「着実さ」という印象を、これからの私たちの運動につなげたいという思いも込めました。「牛歩」というと、国会での投票になぞえられてしまいますが、私は、それでいいと思います。ゆっくりでもいい、一歩一歩進めていければと思います。

(カモメは毎日故郷の浪江町で見慣れていた鳥で、浜通りを象徴。牛は原案の牡牛から、メンバーの意見を入れて「命の源」をイメージした乳牛に変更。)

2.人々

 牛の背中にいる人々。

 さまざまな立場の人を、「牛」の背中に乗せることで、「牛」と一緒にみんなが歩いていければと思いました。

 親子、高齢者、労働者、農漁業者など生産者、若者、子どもたち・・・。それらの人々の姿に込められた思いは複雑に絡み合います。「恨み」「後悔」「願い」「希望」…。

 そういうさまざまな思いを持ちながら、このロゴマーク作成に当たっては、「未来」を意識して人々を表現しました。子と親や孫と祖父母の間で紡がられる未来、産業の復興、かつての日常と未来の日常への模索などを、「影絵」的に表すことができたらいいなと思いました。

柴口正武            

双葉地方平和フォーラム・副議長 / 浪江町立なみえ創成中学校・元教諭

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