2023年12月19日・10団体呼びかけ, 厚生労働省・復興庁・環境省交渉の報告〜全国署名を初めて提出(1万2千808筆)

「医療・介護保険の保険料と窓口負担減免措置」見直し政府方針撤回と措置継続、国の責任で全ての福島原発事故被害者に「健康手帳」(医療費無料化等)交付と求め

2023年12月19日、「福島原発事故被害から健康と暮しを守る会」(「守る会」)を含む10団体(脱原発福島県民会議、双葉地方原発反対同盟、福島原発事故被害から健康と暮しを守る会、フクシマ原発労働者相談センター、原水爆禁止日本国民会議、原子力資料情報室、全国被爆2世団体連絡協議会、原発はごめんだ!ヒロシマ市民の会、チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西、ヒバク反対キャンペーン)呼びかけの政府交渉を持ちました。当日は、福島県及び県外避難の原発事故被害者、そして関東、関西からも、約30名の市民が参加し、公開質問書(12月5日付)を基に政府に迫りました。

交渉に先立って、「医療・介護保険等の保険料、医療費の窓口負担、減免措置の見直し方針撤回と、措置の継続、国の責任で全ての福島原発事故被害者に健康手帳(医療無料化)を求める」全国署名1万2千808筆(2023年11月末までの集約分)を、厚生労働省・復興庁に提出しました。今回、初めてこの署名を提出するにあたり、「守る会」会長の紺野則夫が、「被害者が生きていくため、生活を守るために、国の支援が今も必要ですし、今後も必要。新たな制度で、我々の命と健康、暮らしを守っていただきたい…ここからですので、よろしくお願したい。」と、省庁側に要請しました。

交渉の冒頭に、私たちは、「原子力政策は、資源の乏しい我が国が国策として進めてきたものであり、今回の原子力事故による被災者の皆さんは、いわば国策による被害者です。復興までの道のりが仮に長いものであったとしても、最後の最後まで、国が前面に立ち責任を持って対応してまいります。」「今後、原子力事故による被災者の皆さんが直面するであろう『すべての』課題に対しても、国として正面から取り組んでいくことは言うまでもありません。」(上記、2011年5月17日, 原子力災害対策本部の「取組方針」前書きより)という、原発事故被害に向き合う「基本原則」の確認を各省庁に問い質しました。

復興庁は、「この取り組みの方針は廃止されてはいないが、それ以外にも、いろんな決定文書に基づきながら取り組んでいる。」などと、発言。原発事故の被害者への支援施策の「原則」を棚上げし、被害者支援を切り捨て、さらなる被ばくと汚染拡大をしながら、またもや原発推進を強行しようとしている岸田政権の政策を投影するかのような、「横柄な」態度に終始しました。

厚労省・保健局(国民健康保険課)は、これまでの交渉での再々の被害者の訴えを無視し、「昨年度の回答と同じく、減免措置見直しを進める」と、新しい回答は全くなし。また、「国策の原発で重大事故を起こし、多くの人々を被ばくさせ、生涯にわたる健康リスクを強いた国の責任において、全ての福島原発事故被害者に生涯にわたる医療・健康保障を行うべき。そのために、被爆者援護策の経験を活かし、『原爆被爆者援護法』に準じた、福島原発事故被害者のための『新たな法整備』を行うように。」との私たちの要請に対し、厚労省・保健局としては、医療費の減免措置は、「経済支援であって被ばくの健康影響という位置づけはない」と、生涯にわたる被ばくの健康影響を無視する見解を述べました。

厚労省・生活衛生局総務課・原爆被爆者援護対策室は、交渉に出席せず、「福島原発事故の健康影響に関する対応は、環境省が所管しており、厚労省の所管ではありません。」と、後に交渉の紹介議員の福島みずほ参議院議員事務所宛(2023年12月21日付)にメイルでの回答を送ってきました。

厚労省は、本来なら、自分たちの原爆被爆者援護の経験を環境省と共有し、仮に直接の「所管ではない」としても、国策の被害者として被ばくを強いられた原発事故被害者の健康を守るために、積極的に環境省と協力して新たな施策の構築にあたるべきです。

環境省(大臣官房環境保健部・放射線健康管理担当)も、「健康・医療を生涯保障するような法制度というのは、考えていない」と回答。放射線被ばくの影響を「健康不安」のみに矮小化し、現在、福島県が行っている県民健康調査や「甲状腺検査サポート事業」(この事業は、市民の運動に押されて2015年に福島県が開始した「甲状腺医療支援」ですが、診療情報の提供を条件とする等々問題があり、市民側が改善を求めています)、甲状腺がん患者への「心のサポート」などへの国の財政的支援のみを施策として挙げました。

今後も引き続き、福島県内外の多くの原発事故被害者の声を集め、そして全国各地で被害者支援に取り組む人々、反核・反原発運動、原爆被爆者・被爆二世の運動、人権擁護運動、環境保護運動、等々に取り組む人々とも連帯し、それらの大きな力を背景に、政府交渉にも取り組み続け、福島原発事故被害者への支援切り捨て反対、国の責任で全ての原発事故被害者へ「健康手帳」交付を含む「被爆者援護法」に準じた新たな法整備を実現させましょう。そのためにも、医療費減免等見直しに反対し、国による「健康手帳」交付を求める全国署名を拡大し、被害者の訴えを広め、運動の力として行きましょう。

詳細は、交渉議事録交渉報告公開質問状交渉資料及び「会報3号」をご参照ください。

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